2020-03-10

ライプツィヒ・ワークショップ (2019.08.21)

ライプツィヒ・ライプニッツ地域地理研究所での研究報告および国際セミナー準備会合

会場はライプツィヒの郊外にある「ライプニッツ地域地理研究所」にて行われた

エアフルト応用科学大学と名城大学がそれぞれセミナー代表として申請した2019年度の二国間交流事業・セミナーは、日本学術振興会及びドイツ研究財団の助成を受けて実施されることとなった。このセミナーのテーマは「シュリンキングシティ再考 -人口変化の新パターン・地域での多面性と多層のガバナンス」とされ、大学や研究機関の枠を超えて組織された。セミナーの主な内容として、次の3つの点があげられた。すなわち、1)人口の減少と増加を含む経年的変化の地域的な不均一性とその変化のパターンを議論すること、2)人口減少の地域的特徴をより深く理解すること、3)行政・民間・市民など多様なレベルでのシュリンキングシティに関わる課題に対応するガバナンスの事例と方向性の議論すること、である。人口減少が地域的にも時間的にも一直線で類似的ではないことが明確になりつつある中で、日本とドイツのさまざまな地域での多様な状況を明らかにすることが重要と考えられた。

 セミナーは、2019年10月に日本側、すなわち名城大学と龍谷大学で実施されることとされ、タイトルは「シュリンキングシティ再考 -人口変化の新パターン・地域での多面性と多層のガバナンス(Shrinking cities revisited: New patterns of uneven population development, multifaceted local implications, and the challenges of multi-level governance)」である。

 このセミナーに先立ち、2019年8月にワークショップが開催された。ワークショップの主な目的は、上述の3つの関心をドイツ側と日本側の研究者で共有することを目的としており、まずは日本側の認識をドイツで報告することであった。主催と場所の提供は、ドイツ・ライプツィヒ近郊にあるライプニッツ地域地理研究所(Leibniz Institute for Regional Geography:IfL)から行われた。ライプニッツ地域地理研究所はドイツで唯一の地理学に関する研究所であり、96の研究施設を傘下に収めるゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ学術連合(通称ライプニッツ協会)の一つの研究所である。ライプニッツの名称は17世紀から18世紀にかけて多大な業績を残した哲学者・数学者を顕彰したものであり、ライプニッツは微分積分学等の分野において日本でもよく知られている。JETROの紀要では「世界地理研究所」と邦訳されている一方、「ライプニッツ地誌研究所」と邦訳する日本の研究者もいたが、本稿では「ライプニッツ地域地理研究所」とした。

研究会での議論をしている様子

ワークショップは2019年8月21日(水)午前10時から午後4時にかけて、研究所108号室において実施された。出席者は下記の通り。

日本側出席者

服部圭郎(龍谷大学政策学部教授)Keiro Hattori(Ryukoku University)

海道清信(名城大学都市情報学部教授)Kiyonobu Kaido(Meijo University)

吉田友彦(立命館大学政策科学部教授)Tomohiko Yoshida(Ritsumeikan University)

ドイツ側出席者

ティム・レイバート Tim Leibert (Leibniz-Institute for Regional Geography) 

シロ・ラング Thio Lang (Leibniz-Institute for Regional Geography)

マニュエル・ウォルフManuel Wolff (Humboldt University of Berlin)

カトリン・グロスマン Katrin Grossmann (University of Applied Sciences, Erfurt)

マリア・ブドニク Maria Budnik (University of Applied Sciences, Erfurt)

発表後の質疑応答の様子。発表者は吉田教授

研究討論は主に日本側の参加者3名の報告とカトリン教授の司会によって行われ、研究討論の後は日本で実施する二国間交流事業セミナーの詳細プログラムについて確定を行った。

2019年8月21日(水)

第1セッション 10:00~12:00

海道清信「Shrinking Cities in Japan: In-equal transformation and my studies」

休憩 12:00~13:00

第2セッション 13:00~14:00

服部圭郎「Shrinking Situation in Japan」

第3セッション 14:00~15:00

吉田友彦「Factors Affecting Close Proximity of Older Parents and their Adult Children in Japan」

第4セッション 15:00~16:00

2019年10月に行うセミナーについての具体的な実施方法について議論された後、ワークショップは終了した。

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