2026-03-31

マグデブルク(Magdeburg)市訪問記録

訪問日 2024年8月31日(土)

文章:藤井康幸(静岡芸術大学)

マグデブルク市役所職員3名の案内を得て、シュリンキングシティ研究会メンバーら延べ12名の参加のもと、マグデブルク市中心部、港湾や旧工業地区の再開発、社会住宅の更新などを視察した。

マグデブルク市はエルベ川流域に位置するザクセン=アンハルト州の州都であり、ベルリンの南南西約130kmに位置する旧東ドイツ側の都市である。2024年時点で、市域201km2に25.3万人が居住する。人口ピークは1980年代半ばの約28.9万人で、ドイツ東西統合後には著しい縮退に陥った。1990年に167,000人を数えたマグデブルク市の就業人口は、1999年には85,000人まで減少、SKET GmbHはマグデブルクを代表する機械エンジニアリング会社であるが、旧東ドイツの国営企業の民営化も相まって、SKET 社だけで1,200名の雇用が失われた1。2011年には人口22.8万人となり、ピークからは21%減少したが、その後は回復基調に転じている。市内には、19世紀末に開業した路面電車が9系統、48駅を走っている。

オーストリア出身の芸術家・画家・建築家のフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー(Friedensreich Hundertwasser, 1928-2000)の設計による商業・住宅等の複合建築物の「緑の砦(Grune Zitadelle)」(写真)は、マグデブルク駅から徒歩10分足らずのまちなかにあり、マグデブルク観光の拠点となっている。緑の砦の完成は2005年であり、フンデルトヴァッサーの最後の作品とされる。緑の砦の近傍には、13世紀初めの建設でドイツ最初のゴシック式教会とされるマグデブルク大聖堂がある。

「サイエンスハーバー(Wissenschaftshafen)」は市内中心部から北東3kmのエルベ川に沿ったマグデブルクの港湾中心33haにおける再開発事業であり、2000万ユーロの公共投資のもと、就業人口4,000人、居住人口600人の地区となることが見込まれている。サイエンスハーバーに立地する7つの研究機関の一つであるVDTC(写真)は仮想現実技術のト研究開発・研修施設であり、サイエンスハーバーの西1kmに位置するオットー・フォン・ゲーリック大学が研修プログラムを提供している2

東西ドイツ統一から10年余の21世紀初頭にはマグデブルクの住宅は空室率21%に達した。ブッカウ地区(Buckau)は市内中心部の南1〜2kmに位置する旧重工業産業の労働者地区であり、一時は空室率44%と、市内で最も空室率の高い地区であったが、今日では住宅修繕がなされた(写真)3。Werk 4(ヴェルク4)は、ブッカウ地区の1864年築の酸素・アセチレン施設を転用した延床面積920m2の芸術・スポーツ・サブカルチャー施設(写真)で、2012年に現在の事業主体であるWerk4 GmbH & Co. KGが施設を購入した。Werk 4は、複数のアーティストスタジオ、フィットネススペース、ブレイクダンス、武道のほか、トライアル自転車やフランス生まれの移動動作の運動方法であるパルクール(parkour)といった“実験的”スポーツ施設などで構成され、人形劇フェスティバルのブリックヴェクセル(Blickwechsel)の会場ともなっている4

市内中心部から南西4kmほどに位置するオットー・リヒター通り(Otto-Richter-Straße)は、日本でもよく知られるブルーノ・タウト(Bruno Taut, 1880-1938)が、マグデブルク市の都市計画部署に勤務していた時期に、当時、世界に広がっていた田園都市思想に感化されて手がけた社会住宅である。1904年から1916年に建てられた住宅群は、1920年代にカール・クライル(Carl Krayl)の参加を得て、原色の特徴的なものに塗り替えられた5(写真)。

【引用文献】

1 IBA Saxony-Anhalt 2010

https://iba-stadtumbau.de/index.php?facts-12

2 CORDIS, Publications Office of the European Union

https://cordis.europa.eu/project/id/20722/reporting

3 IBA Saxony-Anhalt 2010

https://iba-stadtumbau.de/index.php?facts-12

4 Werk 4

http://werk4-md.de

5 Zeit für Berlin, Bruno Taut Teil 4

https://www.zeit-fuer-berlin.de/architektur/bruno-taut-magdeburg/
建物の間の道路

低い精度で自動的に生成された説明

緑の砦(Grune Zitadelle)

草の上に立っている建物

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サイエンスハーバー地区にある研究開発・研修施設VDTC

建物の間の道路

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修繕のなされたブッカウ地区の労働者向け住宅

屋外, 建物, フロント, 家 が含まれている画像

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芸術、スポーツ・サブカルチャー施設のヴェルク4

屋内, 建物, 天井, 椅子 が含まれている画像

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ヴェルク4の運動設備

屋内, 天井, 建物, 床 が含まれている画像

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ヴェルク4の運動設備

建物の間の道路

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オットー・リヒター通りの1920年代の社会住宅

(記録・写真:藤井康幸)

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